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経済破局は来るのか?
372709 スタグフレーションに向かう世界
 
匿名希望 21/11/25 PM08 【印刷用へ
吉田繁治氏 ビジネス知識源:211119スタグフレーションに向かう世界  より抜粋引用 リンク
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スタグフレーションとは、コストプッシュで物価が上がるなか、世帯の所得は増えないため需要が増えず、経済が不況化することです。戦争で工場や生産設備が破壊されたあとや、資源の全般が高騰したとき起こります。戦後75年では、1973年と1980年の石油危機のときが、大規模なスタグフレーションでした。1985年のプラザ合意で、経済が弱体化した米国が、ドルを1/2に切り下げたあと、日銀の金融緩和をきっかけに資産バブルが発生しました。その5年後(1990年)の崩壊からは、30年間GDPが増えず、年金に頼る高齢化した世帯が増え、非正規雇用世帯の増加から、所得も増えない経済になって現在に至っています。
今回は、資源の高騰だけでなく、3つの要因が、相互関係をもって複合しています。

【要因1:サプライチェーン・ショック】アジアのコロナによる、サプライチェーン・ショック。1990年代の半ば以降は、経済を開放した中国が、アジア通貨危機のあと2000年以降は、東南アジアと韓国が高い経済成長を遂げました。東南アジアの成長は、GDPの40%〜70%を占める「輸出」によるものです。日米欧の製造業は、人的資源のコストが低い中国とアジアに設備投資をして工場を作り、コストを下げて、輸入するように変化しました。

◎世界中の、コスト適地での海外生産の増加は、比較人件費が高い先進国に、物価が上がらない経済、上がっても最大2%程度の、ディスインインフレの経済をもたらしたのです。
2012年からの安倍政権は、日本のデフレは、日銀が通貨供給を増やさないからだとして、2%のインフレを目標にした異次元緩和を行いました。これは目標が誤っていました。2012年からの物価は、消費税増税分(3%+2%)が上がっただけで、日銀の通貨発行を500兆円にしても、2%のインフレにはならず、ゼロ金利の緩和マネー500兆円では、株価と大都市部の高級不動産が上がっただけだったからです。

▼2000年から世界化した、グローバル・サプライチェーンは、先進国の物価を下げるように働いたのです。

アジアでは、広がりが小さかった2020年からの新型コロナの1年あと、英国とインドで変異したデルタ株が蔓延し、2021年には、輸出国の工場と港湾が操業度の低下、または生産が停止する事態を迎えました。このため先進国では商品供給が不足するという、近来にはなかった現象から、物価が上がるようになったのです。

2021年はドル高のため、アメリカの輸入物価は、21年9月で0.4%しか上がっていません。日本の輸入物価は、2021年の年初からの円安も絡んで、輸入物価が38%上がっています(21年10月)。消費者物価に及ぶのは、6か月後からの2022年でしょう。資源とエネルギーをほぼ100%輸入する日本にとって、円安は国内物価の上昇をもたらします。

東日本大震災(2011年3月)以来の10年、貯蓄率が米国より下がった日本の輸出と輸入は、均衡しています。このため、円安ではメリットより、デメリットが大きくなるという構造変化をしています。

デフレと同様に、輸出に対しても、政府・日銀の認識の遅れがあります。今でも、アベノミクス以来ずっと円安策をとっています。2013年4月からの異次元緩和が招いた円安が、日本の経済の実質成長をもたらさなかったのは、「輸出入の均衡」という構造変化があったからです。

日本の、約100兆円/年の輸入物価の、30%台の上昇は、2022年春からの消費者物価の上昇に及ぶでしょう。

▼要因2:脱炭素の動きによる、エネルギーと国際コモディティの上昇。脱炭素は、電力にもっとも多く使っている化石燃料(原油、天然ガス、石炭)の使用を、減らすことです。日本では、75%くらいが化石燃料による発電です。
◎産油国側は、世界の脱炭素の動きに脅威を感じて、原油価格を1バーレル80ドルに上げています。2022年は、1バーレル100ドル台が予想されています。欧州で多く使う炭素排出の少ない天然ガスは、5倍から6倍に上がっています。

原油価格は、世界のエネルギー−と資源価格の基礎です。原油が上がると、エネルギーだけでなく、鉱物資源と穀物も上がります。穀物が上がると、それを食べて育つ肉の価格も、上がります。穀物は、食品の基礎物資です。
化石燃料を減らす世界の脱炭素の動きは、エネルギー価格の上昇が伴い、金属資源、食品の上昇も長期化するでしょう。漁業も、農業、林業も原油・ガソリンを使う点で同じです。物流のコストも、エネルギー価格が上がると全般が上がります。人間の生活に必需の商品とエネルギーのコストが、全般にわたって、上がっていくでしょう。

短期(6か月以内)では、コモディティ先物の、金融的な要因の売買により騰落はあるでしょう。しかし背景には、脱炭素の動きがあるので長期の趨勢では上昇でしょう。再生エネルギーの総コストは、化石燃料より高いからです。

19世紀は石炭文明の、20世紀は石油文明の世紀でした。2040年に向かっては、100年サイクルの転換として脱石油の時代になって行き、エネルギーコストと国際コモディティは、短期での投機による騰落はあっても、趨勢として上がっていくでしょう。人類は、高いエネルギーと資源に直面します。

要因3の、コロナ危機に対する財政支出の増加から、本文に続く。
 
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