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3996 |
外圧適応態 |
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吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) |
01/05/10 PM02 【】 |
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外圧への適応という構造を掘り下げたいと思います。最終的には、適応の中身を検討して生物の適応戦略(適応機能進化ひいては生命原理)を明らかにすることが目的です。
(1)外圧環境への淘汰適応態
全ての生物は外圧環境に対する適応態である。自然圧力に対する適応、他の生物(他の種)との間で生み出される圧力に対する適応、そして同じ種(あるいは群)内部で生じる個体間の圧力に対する適応態として存在する。それぞれの環境の生み出す圧力状況下で、対自然闘争・外敵闘争(種間闘争)・個間闘争が活性化され淘汰適応していくのである。そして、生物はさまざまな適応戦略をとっていくことになる。
*自然圧力とは、生物を取り巻く物理的・化学的・地学的条件であり、総じて自然環境一般をさす。特に進化において問題となるのは、この自然圧力の変化・環境変化であり、生物が刺激を受けてから反応するまでの機能に決定的に関わる条件変化である。もちろん、ミクロ的には物質交換をする場合の物質の量も環境要因に入れる。たとえば、植物の場合は例えば光合成をするための日光の強さや二酸化炭素濃度や水の量も問題となる。
*外敵闘争(競争)というときは、特に断らない限り、同じ生物ではない違う種との間の闘争(競争)を指す。従って種間闘争を意味する。この場合は個体間の闘争は種としては第一義的な問題ではない。同じ種における集団同士の群間闘争も、同じ理由で個間闘争も直接的には問題とならない。
(2)外圧環境の圧力構造と力学
自然圧力と種間圧力と個間圧力、これらの3つの外圧は常時作動しうるものであるが、常に同じ大きさの圧力が働いているのではなく、その大きさは地球レベルの気候周期によって、あるいは宇宙レベルの突発事故によって、あるいは他者の適応(変異、進化)戦術の変更によって変動するのであって固定的に捉えるべきではない。つまり、自然環境は無限定の情報(ゆらぎ)に満ち溢れている。ただし、生物(ここでは種を指す)に加わる外圧の大きさは、外圧環境により違いがあるわけで、その力関係をここで明らかにしておく。考えやすいように、例えば地球規模の自然環境の大変化(例えば、急激な乾燥とか急激な温度変化など)があった場合にどうかを想定して述べる。
1.まず大変化の初期段階では、「自然圧力」が主圧力となる。
自然環境の大変化により生物の機能が停止する危機=絶滅の危機に瀕しているわけで、この段階の種(あるいは個体)にかかる外圧は、自然圧力>>種間圧力>個間圧力であり、生物にとって対自然闘争に勝つことが第一義的な意味を持つ。
2.中期段階では、「他の生物との種間圧力」が主圧力となる。
自然環境の激動に適応した複数の種は新しいニッチを巡って競争関係に入る。自然圧力に一定適応している(外圧が下がる)ため、種間圧力>自然圧力>個間圧力であり、種の違いとは機能や形態が違うわけで、その種内の個体間の闘争の生み出す圧力など問題にならない。むしろ個体間の闘争が激化すれば、他の種によって滅ぼされる危険性すらある。つまり、この種間闘争は種の滅亡を伴うほどの競争圧力を生み出すのであって、個体間の闘争によって生み出される圧力よりはるかに大きい。
従って、ここでの適応戦略は、さまざまな可能性戦略を生み出し、進化の方向性を決めるほどの大戦略となるだろう。
*考えられる適応戦略としては、@共生(寄生)戦略 A隙間戦略 B組替え多様化戦略 C生殖戦略。詳細については今後検討する必要があるが…。Bは遺伝子組み替えなど多様な変異をとる戦略である。Cは無性有性のオスメス問題に関わるところ。
3.後期段階では、「同じ種内の個間圧力」 が主圧力となる。
他種との共存あるいは競争の決着によってその種間の圧力が一気に下がった状態(自然圧力の低下及び種間圧力の低下=外圧低下)、その種にとって安定的な状態。ただし、無圧力状態になるわけではなく、それまで抑えられていた個間闘争圧力が上昇する。つまり、個間闘争圧力>自然圧力・種間圧力。自然圧力と種間圧力は種間闘争をどのような戦略で突破した種がどのような状態であるかによって強弱が違ってくる。この個間闘争には捕食闘争と性闘争(性淘汰)が考えられるが、外圧が極めて低いという段階での餌の奪い合いはほとんど意味をなさないので、この個間闘争の中でも性闘争の圧力が主圧力になると考えられる。
外圧の適応範囲という条件はあるものの、集団内の多様な些細な変異の可能性が許されることになる。従って、特に閉鎖的に地形に置かれた場合はその種は全体として変異していきこれが亜種を作り出していくのだろう。
★以上の段階からいえることは、ダーウィンの進化論を土台に検討しているが、ダーウィンの修正点、あるいは検討事項がいくつか登場する。
@進化を考える時に個体変異をつまり個間闘争を全ての原点とする捉え方は間違い。
A進化を考える場合は、個間闘争の本質は性闘争にある。
B(検討事項)適応戦略を考えていくと、環境変化に伴う適応ということであるが、それでは主体が環境となり、生物を主体と考える方が生物の可能性収束という見方がすっきりする。
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