サル社会を解明しよう
373918 サルの種間闘争
 
北村浩司 ( 壮年 滋賀 広報 ) 22/01/12 AM00 【印刷用へ
真猿の特徴は原猿時代より更に共認機能を発達させ、知能進化を遂げている点にある。では、真猿が更に共認機能を発達させたのは何故なのだろうか。

世界の真猿の分布を見る際に、目を引くのが、地上にいる時間が長いことである。サバンナのパタスモンキー、高原や岩場に棲むヒヒなどは、夜も地上で過ごす。
サルの最大の武器は樹の上で暮らせることにあり、それが最強の防衛力と最大の生産力の源となっている。従って最大の武器である、樹上を自ら捨てたとは考えにくい。
それは、彼らは樹上から追われたことを示している。そして、彼らを地上に追いやったのは、他のサルとしか考えられない。それは、異種間のサル同士の種間闘争があったことを示している。

原猿が、葉食に転じたことで、樹上は餌が豊富になり、樹上は過密状態となった。この過密状態による恒常的な同類闘争が、共認機能を生み、その結果、弱オスたちは徐々に複雄集団に吸収される。しかし樹上の過密度(餌に対して食える頭数)は、この段階ではあまり変わっていない。

しかし、それまでのサルと、共認機能を獲得したサルとでは大きな違いがある。共認機能はドーパミンを駆動物質とする充足回路によって成立している。すなわちサルは「快美回路」を獲得している。
それは、例えばニホンザルたちが、味付けで芋を洗ったり、よりおいしい農作物を好んで食べに来ることに示されている。
この快美欠乏を獲得したサルたちは、より豊かな縄張りを求めて、種を超えて縄張り争い(縄張り侵略)を行うようになる。これがサル間の種間闘争である

種間闘争はカンブリア大爆発以来、連綿と存在しているが、この快美欠乏に導かれた種間闘争は、本能に基づく種間闘争とは全く構造が異なる。
まず、本能上の種間闘争は、基本的に捕食者と被捕食者との争いである。もちろん捕食者同士の獲物(縄張り)の奪い合いも存在するが、その場合は、弱い方が追いやられ、別のニッチ(もしくは別の餌)を探し、その後はその環境にひたすら適応していくことで、生存権を確保する。

それに対して、サルの快美欠乏に基づく種間闘争は、より良い縄張りを求めての闘争である。従って、いったん敗北しても、そこで生存権を確保して安住するにとどまらず、力をつければ再びより良い縄張りを求めて、再進出を図ってくる。
従って最富裕地域では、最強者同士が常に決戦を繰り返すことになり、それに次ぐ地域も常に激戦になる。そこでは、異種と言っても絶対的な力の差はあまりない。従って、サル社会は一種の戦国時代の様相を呈す。
もちろんこのような構造は、本能にはない。
しかも依然として同類闘争(同種のサル同士の闘い)も並行して行われている。つまり、種間闘争と同類闘争という二重の闘いとなり、この種間闘争は同類闘争も加圧する(異種と同種のサルたちが入り乱れて戦う)関係にある。

種間闘争では複雄化した集団が強く、かつオスを大型化させた方が有利である。
単雄ザルや、複雄ザルでも戦闘力の弱い者たちは駆逐され、森林周辺や、樹冠、植生の劣る森などに追いやられる。さらには地上(高原や岩場)にまで追いやられた種も登場する。

従って種間闘争は、サルたちの複雄化や、大型化を促進する。複雄化によってより連携行動の必要性が高まり、それが知能(共認機能)を進化させる。また、単雄で大型化した種にも樹上での俊敏性が求められ、それが知能進化を促す。つまり、この種間闘争が真猿の肉体進化、知能進化の大きな原動力を生み出した。

※知能進化を生み出したもう一つの要因は授乳期間や、母子密着期間の長期化が上げられるが、それは大型化や知能進化の必要性から生まれたものでもある。従って、これらの原因の大本が種間闘争という関係でもある。少なくとも種間闘争と、母子密着期間の長期化(=親和機能の一段の進化)の両輪がサルの進化を促したと言っていいだろう。
 
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