中国で発見された真獣類は、食虫性動物のようですね。この頃はまだアロサウルスなどの肉食大型恐竜が闊歩していた時代で、おそらく低木の間に隠れ住む生活をしていたのではないかと見られています。
もう一つ例を挙げれば、昨年の12月に、パキスタンで3000万年前のコビトキツネザルの祖先と見られる化石が見つかっています。マダガスカルのキツネザル類もアジア起源の可能性が出てきたわけで、霊長類の進化においてアジアはかなり重要な場所となりそうです。
ただ、先の中国の例を考えると、おそらく原猿類の祖先は早い時期に樹上への適応は遂げてはいたものの、巨大爬虫類が絶滅するまでは、やはり大々的に繁殖を遂げるまでは至っていなかったのではないでしょうか。
その大繁殖の様子ですが、この間の議論で、やはり原猿が樹上ニッチを占めた頃は、昼行性だった可能性もあると考え直しています。
一つは、単純に、昼行性の恐竜などが居なくなったことが「隠れ住む」ことを止め、大繁殖できた理由だとしたら、同類闘争圧力の極大化の前に、昼、夜を問わず、可能なニッチにまず適応放散しただろうということです。
もう一つは、アジアに住む原猿であるメガネザルの特徴です。メガネザルは夜行性ですが、28857で紹介したワオキツネザルとは逆に、夜行性動物の特徴である「タペータム」という光の感受性を高める膜が目に無く、昼行性から夜行性に回帰した種ではないかと考えられています。
そして系統発生的な研究によれば、多くの真猿や人に繋がる原猿の系統は、曲鼻類と呼ばれるキツネザル科ではなく、直鼻類と呼ばれるメガネザルの仲間と考えられています。但し、メガネザルは食虫性です。
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おそらく、食虫性の初期原猿が天敵の消滅によって様々な形で昼夜のニッチに進出し、そのうち豊かな果実や葉を主食にして大型化し、そのために視覚を発達させた者が種間闘争に勝ち、ニッチを制覇して真猿への道を歩み、メガネザルのような種がニッチを追われて再び夜行性に戻った、というようなことが当時起こったのではないでしょうか。 |
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